86/BRZ Race 2021 第1戦 ツインリンクもてぎ参戦記
過去最大のシリーズ11戦が開幕!
市販車ワンメイクレースとして国内最大で人気の高い「TOYOTA Gazoo Racing 86/BRZ Race 2021」。
当社は昨年に続き、2021シリーズも「TEAM ENEOS Generations/チーム・エネオスジェネレーションズ」をスポンサーすることになった。
チーム・エネオスジェネレーションズは、昨年同様「クラブマンカップ」のエキスパートクラスに松原亮二選手、オープンクラスに咲川めり選手の2台がエントリー。チームスタッフも2年目という、昨年の好成績を活かせる体制だ。
昨年はコロナ禍の影響で変則的に全5戦開催だったが、今年は全国7つのサーキットで、土・日2レースを含め全11戦(ラウンド)でのポイント争いとなり、過去最大規模のシリーズ戦になる。
その開幕戦を3月20・21日に「ツインリンクもてぎ」(栃木)で迎えた。
今シーズンも86/BRZレースは、プロフェッショナルシリーズとクラブマンシリーズに大別され、クラブマンは、エキスパートとオープンクラスに分かれる、計3つのカテゴリー。
競技/車両規定は昨年までとほぼ同じ。全クラス市販される86とBRZのレース仕様(エアコンやオーディオが無く、ロールバーが標準装備される)がベース。
公道走行=車検対応が絶対条件で、レース前後…特にレース後公道走行が可能か仔細に厳しくチェックされる。
マシンはサーキット走行用の安全装備のほかに、換装できるのは、タイヤ&ホィール・ブレーキパッド・サスペンションユニット・LSDなど、車両規定の承認を得たパーツのみから選択できる範囲だ。
無論、エンジンは全てノーマルで「封印」される。
いわゆる「改造」は厳禁だ。
昨シーズンとの大きな違いは、クラブマン用のタイヤが、4メーカーから3メーカーになった事。
3社のタイヤから認証された各1銘柄で、予選&決勝を続けて走る事に変わりは無い。
タイヤメーカーの協賛を受けるチームと、あえてタイヤメーカーの協賛を受けないチームがあり、レースのコンディションによってどちらが優位か?分からないところも面白い。
2021シーズンも、松原亮二選手[162]と咲川めり選手[62]の2台体制で挑む。
朝の予選では、咲川選手が昨年の勢いのままに2位でフロントローを獲得。
上位好タイム連発の予選で咲川2位
3月20日の予選。お彼岸にふさわしい穏やかな天気の中で、86/BRZレースの予選が行われた。
「ツインリンクもてぎ」は昨2020年シリーズ・最終戦の舞台で使われた、1周約4.8kmという長い周長のサーキットだ。国内有数の大規模/高速サーキットらしく、長いストレートとそれを結ぶコーナーの構成は、小排気量車のワンメイクレースにとって「大味で淡泊」。
走りだすと差が出にくいコースといえる。
86/BRZだと1週のラップタイムが2分19秒ぐらいとなるロングコースなので、予選のタイムアタックは3周が限度になる。
最初にスタートしたオープンクラス予選。
昨シーズン、86/BRZレース初挑戦でポールポジション始め上位入賞獲得で注目を浴びた咲川選手は、今回も速さを見せトップと0.156秒差で2位をマークし、幸先の良いスタートとなった。
ちなみにトップタイムはF4経験者の加藤潤平選手。
3位は2020シリーズ・オープンクラス年間チャンピオンの岡田整選手だった。
続くエキスパートクラス予選は、松原選手がトップと0.61秒差で7位通過となった。
なんとオープンクラスの3位まで、エキスパートクラスの8位までがコースレコードで2分18秒台にひしめく面白い結果となった。
予選後、咲川選手はチームのテントに戻ると直ちに情報を共有し決勝に備える。
ワンメイクのレースではタイヤとブレーキが最も重要になる。
オープンクラスは約2時間後の決勝レースに備え、短い時間を松原選手や監督・メカニックとの情報共有。メカニックたちは足回りの点検に余念がない。
ホイールを丁寧に拭きながら、タイヤとブレーキの減りや編摩耗を徹底検証する。
MCにもお馴染みになった、好評の等身大のドライバーPOP。(リテールサーチスポンサード)
スタートミスで、予選トップの加藤選手に続いたアウト側2台に先行され4番手。
上位6台の並びはまったく動かぬまま、咲川選手は我慢の4位フィニッシュ。
ワンメイクレースの難しさを改めて感じる
3時間経たずに決勝レース。ここで咲川選手は痛恨のスタートミスで出遅れてしまう。
トップクラスの選手になると実力は拮抗するので、限りなくマシン性能がイコール、路面コンディションがドライの場合、前走車に肉薄はできても抜きつ抜かれつのバトルは困難といえる。
無理をすれば、ブレーキの冷却に不具合が生じ、却って終盤戦辛くなるといった具合だ。
ポールポジションからスタートもきっちり決めた加藤選手と後続の3, 4位がそのまま1~3位の隊列となり、イン側(右列)からのスタートで遅れた咲川選手と後方にいた予選4, 6位が一緒に4~6位の隊列となった。
中盤以下の混戦ではコースアウトも見られるが、さすがに上位選手は小さなミスすらほとんど無い。
仕掛けようにも、直線が長くテクニカルコーナーが無いもてぎサーキットでは、どうにも順位を入れ替えることができず10周のレースを4位でフィニッシュすることになった。
エキスパート決勝は大雨の中で激戦
エキスパートクラス決勝は、翌日曜の朝スタートだった。
昨夜から降り出した雨は本降りとなり、路面はフルウェット。
予選を終えたマシンは保管されているので、まったく異なる路面状況に対するドライバーの適応力・調整力が求められる。
予選7位ポジションからの松原選手は好スタートを決め、密集状態のまま2周を終える。
翌朝のエキスパートクラス決勝。予選と全く異なる大雨で大激戦となる。
テールtoノーズのドッグファイトが続く。雨天では些細なミスで順位が変わる。
リスクを冒しても順位を上げ5位。強い走りを魅せた松原選手。
タイヤサイドまでえぐれバースト寸前!雨中での激しい攻防を物語る。
前走車の揚げる水しぶきがシャワーのような状況でテールtoノーズの鍔迫り合いを続け、1台ずつ丹念に順位を上げる松原選手。
難しいレースの中、5位まで順位を上げてのフィニッシュとなった。
車両保管から戻ったマシンをチーム一同が迎えると、左後部の衝突跡が左タイヤをバーストさせる寸前だったのに驚かされると同時に、松原選手の強運をあらためて感じさせられた。
二人の選手は、手堅く初戦でポイントを稼ぎ、次回の富士スピードウェイに期待をつないだ。
86/BRZ Race 2021 第1戦 ツインリンクもてぎ
[クラブマンシリーズ]
- エキスパートクラス結果
- 162号車
- ドライバー:松原亮二
- 予選:7位
- 決勝:5位
- 年間ポイント:5位
- オープンクラス結果
- 62号車
- ドライバー:咲川めり
- 予選:2位
- 決勝:4位
- 年間ポイント:4位